遺言書の作成
ご自身や配偶者の定年退職、お子様の独立や結婚など人生の節目を迎えた際に遺言書を作成し、その後定期的に、あるいは新たに大きな状況等の変化があった際に適切に見直しをすることをおすすめします。
「我が家は家族仲良くやってるし、法定相続で問題ないから遺言書は作らなくていいや」と思われている方が多いのではないかと思います。しかし、本当にそうでしょうか?預貯金や現金は法定相続分で分割することは可能でしょうが、ご自宅や土地といった不動産は、持ち分という概念で所有権を共有する(分け合う)こととなります。共有不動産の管理は特別な場合(例えば夫婦間で住居として使用する場合)を除き色々と大変なことが多くなります。
また、仲のいい家族も当然に遺産相続で揉めることなど望んでもいないし、また、それぞれが公平に遺産を分け合うつもりだと思っていることでしょう。ただ、残されたご家族一人々々が思う「公平な遺産の分割」はそのアウトプットが果たして全く同じものでしょうか?
『兄貴は私立の大学院まで行かせてもらい、俺は高卒で就職したから遺産は少し多めにもらうのが公平だ。』
「弟は実家に縛られることなくずっと自由気ままにやってきて、高校を卒業したら手に職をつけ好きな道で楽しくやっている。方や俺は親の期待に添うように地元大学院を出て、親の進める仕事に就き、ずっと親の面倒をみてきた。それでも遺産相続で揉めたくはないから法定相続通り弟と半々でいいだろう(なんて物分かりの良い兄貴だろう。弟も少しは感謝(遠慮?)して実家の持ち分は放棄するかも?)」
『妹は早々に結婚して外へ出て実家の事はほったらかし、たまに帰省すると実家にある物を持てるだけ持って帰るし、親から小遣いももらってる。一方、私は親と家の面倒をずっとみてきたのにこの家を妹と半々に共有するのは納得できない(当然、妹も持ち分を放棄するとじゃ思うけど…それが公平というものだし)。』
「姉さんは、実家暮らしで親から色々と支援も受けて経済的にも余裕があって羨ましい。私はこれまで親にも迷惑をかけずに一人でやってきた。遺産は少しくらい多めにもらってもバチはあたらないと思う。」
ちょっと極端な例を挙げましたが、人の気持ちは本当に人それぞれです。定年退職を機に先ずはご自分の資産を把握してそれをどのように引き継がせるかを考え、遺言書という形にしてみませんか?
「二十歳の献血」というキャンペーンがありますが、ある程度の人生経験を積まれた方は、「還暦の遺言作成」も考えてみて下さい。
家族信託
家族信託とは、自分が信頼する家族に財産の管理や運用、処分を任せる制度です。
成年後見制度と異なり、裁判所を通さずに契約や手続きが完結するので、柔軟な財産管理を行うことができると言ったメリットがあります。
成年後見制度と家族信託は、どちらも認知症発症後に財産管理をしてもらう制度ですが、成年後見制度は本人の資産を守ることを目的とした制度であり、財産の管理を行う際には裁判所で許可を得る必要があります。そのため、柔軟な財産管理や運用、処分を行いたいのであれば、成年後見制度ではなく家族信託を利用するのがおすすめです。
遺産分割協議のお手伝い
相続人の間で遺産分割に関して争いが起きていない場合は、司法書士であれば、遺産分割協議書の作成から、その分割協議に基づく相続不動産の相続登記まで一元的に行う事ができます。
遺産分割に期限はありませんが、相続登記については令和6年4月1日より、相続開始から3年以内との時期的期限が設けられました。
遺産分割協議は話し合って終わりではありません。預貯金などは協議結果に基づき配分を、土地や建物の不動産は相続登記をしなければなりません。最終的な手続きまでワンストップで対応させていただきます。